眼鏡購入

2012-09-22

1年ほど前から、眼鏡をかけていると近くの物(新聞とかスマホとか)が見えにくくなってきた。元々、自動車免許はギリギリ眼鏡なしでOKになるぐらいの弱い近眼で、普段は眼鏡をかけていない。新聞などは眼鏡なしで読めるが、会議でホワイトボードを見るには眼鏡が必要になる。でもそのまま手元の書類を見るとボケてしまうという具合。
ピントの調整力が落ちてしまっているのであり、老眼(涙)ということだ。しかたがないので、遠近両用眼鏡を買おうと思って、ネットで調べたり、眼鏡屋さんに行ったりした。
なお、累進タイプ(いわゆる境目のない遠近両用メガネ)を前提にしていて、2重焦点タイプ(近用部分がはっきり分かれているもの)は考えなかったので、以下の記述も累進タイプについて記載している。

参考情報
  1. 遠近両用レンズの情報ページ@れんず屋
    今回、最も参考にしたサイト。眼鏡全般について、一般の眼鏡屋さんでは説明してくれないような情報が記載されている。特に遠近両用について詳しい。
  2. メガネ考
    球面vs非球面、ガラスvsプラスチックについて、独自の考察がされている。
  3. メガネ・ポータル
    メガネの基本の説明
  4. まちがいだらけの遠近両用メガネ
    遠用中心位置の上下位置の設定について、いろいろ試したことについての経験談。普通に作ると遠用中心位置が瞳位置より下にくるので、正面かもっと上にしたほうが使い易いとのことだが、今回眼鏡屋で聞いた限りでは正面にあわせるようだった。実使用時は多少ずり落ちていることの考慮が必要ということかも。作るときにはお店に設定を確認したほうがいいだろう。
  5. 「快適な遠近両用メガネ」を作る為の「基礎知識」&「ポイント」
  6. 累進屈折力メガネレンズニューコンセプトメガネレンズ@HOYAビジョンケアカンパニー 
  7. 累進焦点レンズ@ニコンレンズウェア
  8. 格安メガネ店比較リンク
    オプションを含めて価格をまとめたサイト。眼鏡屋さんによって価格体系が異なるので、最安値の場合と、薄型や遠近両用にした場合では、価格に入れ替わりがある。自分の作りたいタイプの場合の価格比較がしやすい。
パラメーター
遠近両用(累進)レンズには極めてパラメーターが多い。以下にわかった範囲でまとめる。
  1. 遠用度数[単位:D(ディオプター)]
    遠方のものを見やすくするための度数。普通の近視(遠視)補正メガネの度数。
    私の場合、今のメガネ(実は一番最近(6年ぐらい前?)買ったメガネはなくしてしまったので、その前の物(10年以上前?))の度数は、R:-1.5D/L:-1.5Dだった。今回眼鏡屋さんを回って測ったところ、完全矯正(最もよく見える状態)の度数が、R-1.75D/L:-1.5Dぐらいだった(4,5回測ったがその平均的な値)。一般的には完全矯正から+0.5Dぐらいゆるくして使うらしい。最後の方に行った眼鏡屋さんで、少し近視がよくなっているのかもしれない。今のメガネはきつすぎるのでは?というアドバイスをいただいた。最終的にこのアドバイスが購入の決め手になった。
  2. 乱視補正[単位:D(度数)、°(方向)]
    補正度数の方向による差。本来点対称のはずの目のレンズの対象性が崩れているのだろう。私の場合は、左右とも、0.5D/90度ぐらいだった。この程度の弱い場合は矯正しない場合もあるらしい。
  3. 近用度数[単位:D]
    老眼の衰えた調整力でも近くにピントを合わせることのできる度数。
    調整力の限界を使えば疲れるし、近の距離をいくつと考えるかによっても違ってくる。メガネのパラメーターとしては、下記の加入度を使う。
  4. 加入度[単位:D]
    遠用度数と近用度数の差。
    遠用も近用もベストのものを選んでその差で決めるだけなら比較的簡単な事だが、加入度が大きいほど周辺のボケや歪が大きくなってしまう。
  5. 累進帯長[単位:mm]
    遠用度数の入っている部分(の中心)と近用度数の入っている部分の縦方向の距離。
    14mmぐらいが標準(最も多い)らしい。長いほど周辺のボケや歪は小さいが、視線の移動が大きくなり、またフレームのデザインが制約される。最近のフレームは縦幅の小さいものが多いし、個人的な好みとしても小ぶりなものの方がかっこよく見える。
  6. インセット[単位:mm]
    遠用度数の入っている部分(の中心)と近用度数の入っている部分の横方向の距離。
    近くを見るときは寄り目になるので、横方向にもずれる。その量は個人の目幅や目とメガネの距離、近の距離をいくつと想定するかによって変わる。ただ今回眼鏡屋さんを回った中では話題にならなかった。他のパラメーターが多すぎるので、既製品ではあまり種類がないのではないかと思う(推測)。上記他の項目と比べると個人差は小さい気がする。
  7. 目幅(PD)
    目の幅。鼻に対して左右でずれていたりする。これは、自分の量を測ってしまえば固定なので、特に悩む必要はない(のだろう)。レンズをフレームにあわせて削るときに調整するらしい。
選択肢
最近極めて安い眼鏡屋さんがあり遠近両用メガネも扱っているようなので、軽い気持ちで調べ始めたのだが、上記のような多くのパラメーターがある中で性能・コストのバランスを満たすために極めて多くの選択肢があり、非常に難しく迷いに迷った。結局…。
  1. 累進面
    外面累進、内面累進、両面累進の3種類がある。後者ほど、周辺のボケや歪が少ないとの事だが、値段も高くなる。プラスチックレンズが成型で作られるのならコスト差はないはずだが、検索すると切磋・研磨しているようでもある(ガラスなのかプラスチックなのか不明瞭なところしか見つけられなかった)。実コスト差というよりは付加価値差なのだろう。
  2. 重視距離
    遠・中・近のどこを重視(ボケや歪が小さい領域)するかによって設計が異なる。
    一般的な遠近の他にも、中近や近々、PC用、室内用などいろいろなタイプがある。周辺のボケ・歪、視界の広さなどの問題で、オールマイティなレンズは難しいので、距離で妥協するか、性能で妥協するかの選択が必要になる。
  3. 硝材(屈折率、アッベ数)
    屈折率が高いほど薄くできるが値段も高くなる。アッベ数は高いほど色収差が少ないが、屈折率とセットで決まり、あまり重視はされていないよう。私の場合は度数が低いので、安いものでも大丈夫だろう。
  4. レンズメーカー
    HOYA、ニコン、東海光学、SEIKOなど。
    各メーカーに、上記のような視点でさまざまな種類・グレードのレンズがある。さらにかなり古いレンズも現役で生きていて、眼鏡屋さんのセットレンズに使われているようだ。また眼鏡屋さんオリジナル(メーカーとの共同開発)のものもある。
    それぞれメリットをうたっているが、ずいぶん価格が違うので、自分の条件と感性でどう違うかは試してみないとわからない。
  5. フレーム
    デザインで選びたいところだが、累進帯長との関係で、遠近両用では縦幅が制約になる。累進帯長14mmで、30mmから32mmぐらいは欲しいそうだ。
  6. 価格
  7. 眼鏡屋
    4~6の組み合わせで、眼鏡屋によって選べるものが違ってくる。今回、以下の眼鏡屋さんに行った。
    • クーレンズ
      たまたま見て、安かったので、きっかけになった眼鏡屋さん。セットで4,990円、6,990円、8,990円など。レンズはニコン・エシロール製。
    • 和真
      全視界眼鏡を売りにしている。オリジナル(共同開発)レンズと鼻パッドが、磁石で上下に簡単に上下し、近用位置を上に持ってこられるのが特徴。全視界セットでない眼鏡でも+3,000円で鼻パッドを上下移動タイプに交換可能とのこと。これはいいかも。ただオリジナルレンズなので、メーカーのどのクラスのレンズなのかよくわからない。
    • 眼鏡市場
      セットで、15,750円、18,900円、25,200円。薄型や遠近両用でも均一価格。
    • メガネスーパー
      セットで、18,900円等。レンズはHOYAが多めのようだった。
    • 近所のスーパーの眼鏡屋
      すでに迷いに迷っていたのだが、近所のスーパーに行ったときに立ち寄ってみた。あまり期待していなかったのだが、私の状態に合わせて、遠用度数を下げることの提案や、HOYA REMARKの紹介などがあり、今回の決定に役立った。買わなくてごめんなさい。
レンズ比較(試した順)
以下を試用してみた。試すほど混乱していった気もするが、次回のために記憶の限りメモしておく。ただ、だんだん詳しくなっていって気になることが変わった行っているので、公平な評価ではないと思う。また、試すときの設定(私の場合は遠用度数-1.5D/加入度1Dぐらい程度だったが、多少は違っていたと思われる)がたぶん多少違うので、その影響もありそう。さらに、仮枠では、 遠用度数のレンズに累進のレンズを重ねて入れるが、その前後関係も影響しているかもしれない。半年ぐらい前に試した眼鏡屋では、内面累進は内側に入れると説明していたが、今回は店によって違っていた気がする。カタログで気になったものも一部記載。
  1. 和真-全視界ビューレンズ今回、最初に試したもの。よく覚えていない。
  2. 眼鏡市場-MIプレミアム
    標準でも内面累進になっている。かけた状態で首を振りながら同じところを見ると、縦線が斜めになっていて向きが変わることに気づいた。これが歪ということかと気になりだした。ただ店の陳列棚が格子チャートのように縦横の線がはっきりしていて目立ちやすかったかも。
  3. HOYALUX サミットプロ@メガネスーパー
    忘れた。
  4. HOYALUX iD/FD
    見せてくれたフリップにはiD/FDと書いてあってどちらかはわからなかった。+25,000円 x 0.9(10%引き) = +22,500円。非常に歪が少なく見えやすかった。ただフレームとあわせると40,000円ぐらいになってしまう。
  5. 和真-標準遠近両用
    外面累進との事。あまり覚えていない。メーカー等不明。
  6. 和真-全視界ビューレンズ(再度)
    19,000円だが、18,500円ぐらいのセットなら+9,000円(たぶん)。実はいろいろタイプがあるようだが、価格からすると試したのは、全視界ビューレンズE NEOだったのだろう。見え方は、あまり標準と変わらなかった気がするが、明確には覚えていない。
  7. Nikon プレシオ ファーストステップ・アイ@クーレンズ
    +4,200円。ニコンのエントリーモデル。近周辺のボケが気になった。
  8. Nikon プレシオ アドバンス@クーレンズ
    +約10,000円。ファーストステップよりは近周辺のボケは少なかったが、FXと比べると周辺の歪あり。
  9. Nikon プレシオ ライフ@クーレンズ
    +約19,000円。事前にニコンのサイトを見て、中近重視の遠近ということで期待していたが、アドバンスと大差ない気がした。ちなみに、クーレンズではプレシオWも価格は同じ。
  10. HOYALUX JAZ(未試用)
    中近重視の遠近。FXと同じHOYAのBOOMということでよさそうな気がするが、累進帯長が20mmということで、かなり縦幅のあるメガネにしか使えなさそう。
  11. HOYALUX REMARK(未試用)
    PC用とかサポートレンズとかいわれるタイプ。近所のスーパーの眼鏡屋さんでは、私の場合加入度が少ないのでこれがいいかもと進めてくれたが、お試し用レンズがなく試用できず。そのお店で+13,000円だった気がする(フレームとあわせて23,000円ぐらい)。FXでHOYAのポイントが高まっているので、次の機会には試してみたい。
総評
HOYAのFXがよかったが価格が難点。FXの好印象のせいで、NikonよりHOYAの印象がよくなった。

測定
どこの眼鏡屋さんでもよく似た(同じ機械ではないかと思うほど)内容だった。Webでは安売りメガネ店では、測定がすごく短いとか書かれているが、どこの店もきちんと対応してくれたと思う。
  1. 放射線状のチャートが自動でデフォーカスし、自動で目の測定を行う装置で、1分ぐらいで測定は終わる。どこの眼鏡屋さんでも最初にこれを行った。印刷されてる紙を見ると、完全矯正度数、乱視度数と方向が表示されていた。
  2. 目幅測定。ハンディな装置を、被測定者と測定者が両側から覗き込んで測定。青い点の上に相手の目が見えていてついそっちを見てしまったが、青い点を見ていないといけないのだろう。
  3. 緑と赤のどちらがくっきりしているか選ぶ
  4. 点々のどちらがはっきりしているか選ぶ(乱視?)
  5. 文字のチャート。視力検査のようなもの
  6. 文字のチャート(近)。目の前に小さなチャートをおいて、文字を読む。
  7. 格子のチャート(近)。どっちが濃いかを選らんだ気がする。近の乱視?
結論(購入したもの)
私の場合、遠用度数-1.5D/加入度1Dぐらいと、どちらも少ないので、参考情報などで見る限りはエントリークラスでもボケや歪はあまり気にならないと書かれている。でも、まっすぐ見ている分にはあまり気にならないが、首をふると縦線の曲がり方が変わるので目だってしまう。気にしすぎかもしれない。FXはよさそうだけど、コストパフォーマンスを含めて迷いすぎてしまった。
結局、度数を下げた単焦点のものを作ることにした。遠方度数を下げれば自動的に近は見やすくなる。そうすれば単焦点でも近くが今のメガネより見えやすくなる。しかも度数の低い単焦点なら安いものでも問題ないと思われる。なお、遠近の場合でも加入度が低いほど周辺のボケや歪は減るはずなので、遠用度数も含めて選択するとよいだろう。今回、遠近両用を作る気分からスターとしたので、遠側をいじるという発想に気づくまで時間がかかったが、全体最適には必要な選択だと思う。
お店については、フレームと価格で、クーレンズにした。前2回のメガネは形状記憶合金のフレームにしていた。賭け心地がソフトで気に入っていたので同じにしたかった。クーレンズには4,990円の形状記憶合金のフレームがあり、さらにチラシで1,050円引きのクーポンがあったので、他よりかなり安い。購入したものは、以下のもの。
  • 遠用度数:-1.0D
    テストレンズで遠と近の見えを確認。遠はこれでも大丈夫そう。近はもう少し近くまで見えるといい気はするが、バランス的にはいいところ。
  • 乱視補正:0D(なし)
    測定値は0.5Dぐらいだが、乱視を入れると縦横どちらかが-1.0Dと-1.5Dになってしまうので、平均すると0.25Dぐらいあがってしまうとの事。その分、近くは見えにくくなる。乱視のテストレンズを付けはずししながら遠くのものを見ると、付けたほうがよく見えるが、乱視補正のためか度数が上がったためかよくわからないので、今回は入れないことにした。作ってから、-0.75Dに乱視補正を入れたものを試してもよかったかと思った。
  • レンズ種類:標準のもの(屈折率:1.55、球面)
    度数が低いのでこれで十分だろう。購入後の袋には、ニコン・エシロール SV155SP HCC/S-1.00, C-0.00と書いてあった。
  • フレーム
    形状記憶合金のものから選んだ。帰ってからフレームを見ると、T-NT 52口7-140 NF60-014 C1と書いてあった。T-NTとは、テンプル(T、横の部分)にNT合金を用いているという事らしい。NT合金とは、ニッケルとチタンが50%ずつの合金で、形状記憶性や超弾性をもつとの事。ただ、ちょっとイメージより硬い。βチタンというのが多い気もするのだが…。NF60-014というのは型番。C1は色?。
  • 価格
    フレーム:2,253円-1,050円(クーポン)、レンズ:1,250円x2。計3,703 x 1.05 = 3.888円だった(レシートより)。割引の1,050円は税込みだろうから、ちょっと計算間違いして得したのかな。それにしても安い。これなら複数作っていろいろなところにおいて置いてもよいかも。

フレームについて
超弾性樹脂というプラスチックだが非常に柔らかい物ができているようだ。なかなかいい感じなのだが、妙にカラフルなもの(ツートンとか)が多く、 (たまに着る)スーツには合わないのでやめた。もう少し普通の色の物が欲しかった。
スポーツ用のものもなかなかかけやすくてかっこよかったのだが、同じくスーツにはあわないのでやめた。これも色などでもう少し工夫があれば買って見たい。